2012年第四四半期(4Q)、そして、2013年第一四半期(1Q)の半年間で、ジョホールバルの不動産価格は過去にないくらい非常に力強い上昇を見せました。
2006年末、イスカンダル計画を政府が発表してから、2009年末まで、ジョホールバルの不動産価格はほとんど上昇していません。
「イスカンダルプロジェクトがあるからジョホールバル不動産は上がります!」
という人がいますが、2006年に発表されてから、2009年末まで、なぜイスカンダル計画があったにも関わらず、ジョホールバル不動産は上昇しなかったのでしょうか?
要するに「イスカンダルプロジェクト」という政府発表資料自体は、ジョホールバル不動産投資のプラス材料にならなかったということではないかと思います。
そこを今回、ご説明したいと思います。
弊社ホームページで無料配布している「マレーシア不動産投資で失敗しない7つのポイント」で詳細に記述していますが、イスカンダル都市計画に魅力を感じて、私自身、ジョホールバルに移住し、不動産投資を行っているのですが、このような国家都市開発プロジェクトは、実は、過去にもありました。
アメリカのシリコンバレーのようなIT・マルチメディア開発拠点都市にしようと始まった“サイバージャヤ(Cyberjaya,1997~)”、そして、ワシントンDCのような行政新首都として開発中の”プトラジャヤ(Putrajaya,2001~)”です。
マレーシアで不動産投資をされる方は、このような国家プロジェクトについて調べられていらっしゃる方が多いと思います。
サイバージャヤで就業する人は約43,000人に対して、実際にその地区に住んでいる人はたった約1万人と言われており、プトラジャヤは約7万人(2010年)で、そのほとんどが政府機関で働く職員とその家族であり、正直、両方とも活性化した都市とは言い難い状況です。
そのため、2006年末、イスカンダル計画を政府が発表した時、多くの地元の人が「またサイバージャヤ、プトラジャヤのようなものを作って、どうせ失敗するに決まっている」と考えていました。
近隣のシンガポールでは、当時ジョホールバルに対するイメージもあまり良いものではなく、イスカンダル計画を発表したからと言って、ジョホールバル不動産価格を買おうという人もいません。
2007年末~2008年には世界的な金融危機もあり、イスカンダルプロジェクトへどんどん投資しようという雰囲気はなく、どちらかというと誰も見向きもしなかった国家プロジェクトだったわけです。
基幹の高速道路が整備され、レジャー施設、教育機関、住宅地など、計画通りに目玉案件が順次オープンした2010年あたりから不動産価格は上昇に転じました。開発が目に見える形になってきたから人々が投資をし始めたという見方もできますが、投資というのは個人ではなく、より大きな力が働かなければ動きません。
その大きな要因は“シンガポール”の関わり方の変化です。
シンガポールはマレーシアから独立したこともあり、ジョホールとシンガポールは長い間冷えた関係が続いていましたが、ジョホール州に強い影響力を与えていた首長スルターン(Sultan)が2010年1月22日に亡くなり、翌日23日に新しい首長が誕生しました。
新しい首長はビジネスマンの側面が強く(そして、スポーツカーのコレクターとしても有名)、シンガポールとの関係回復に積極的な動きを見せたため、これまで凍結されていた数々の案件が解決に向かい、ジョホールとの結びつきへ躊躇していたシンガポールが積極的にこのイスカンダルプロジェクトに参加しはじめたこと、これが不動産価格上昇の一番の要因だと思います。
日本でこのような話をよく耳にしませんか?
企業が融資を受ける時、財閥系の金融機関が融資をすれば、他の金融機関が付いて来る。あそこが融資するなら、うちも出しましょう、と。
逆にメインの金融機関から融資が出なければ、他からも出ません。○○銀行さんはどう返事しましたか、と。
隣国のシンガポールが乗り気になるのか、ならないのか。そして、どこまでこのイスカンダルプロジェクトに突っ込んで関わってくるのか。
シンガポールからジョホールに地下鉄が乗り入れるのか、乗り入れないのか。
シンガポールの工業団地をジョホールに移転させることを後押しするのか、しないのか。
等々。
私は、これが「イスカンダル」地区の投資のキーファクターになっていると考えており、投資家の皆様には、この動きを注意深く見ていかれることをお勧め致します。
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